退職給付金とは?失業手当との違い・種類・もらい方をわかりやすく解説【注意点あり】
「退職給付金とは何ですか?」と検索すると、「退職金のこと」という説明と、「退職後にもらえる給付金のこと」という説明の両方が出てきて、混乱してしまう人は少なくありません。
実は**「退職給付金」という言葉には、はっきりした一つの意味があるわけではなく、大きく2つの使われ方**があります。さらに近年は、この言葉を使って有料の申請サポートを勧める広告も増えており、注意が必要です。
この記事では、退職給付金とは何かを2つの意味に分けて整理し、失業手当との違い、退職後に実際にもらえる公的給付金の種類、そして「退職給付金制度」をうたうサービスを利用する際の注意点まで、わかりやすく解説します。
※本記事は一般的な情報の解説です。具体的な受給可否や金額は、必ずハローワーク・年金事務所・加入している健康保険などの公的窓口でご確認ください。
退職給付金とは|まず知っておきたい2つの意味
「退職給付金」という言葉は、文脈によって次の2つの意味で使われています。ここを最初に切り分けておくと、情報に振り回されずにすみます。
意味①:会社が支払う退職金(退職給付制度)
1つ目は、会計や人事の世界で使われる本来の意味で、**企業が従業員の退職時に支払う退職金(退職一時金・企業年金)**のことです。「退職給付」「退職給付制度」「退職給付引当金」などの形で使われます。
これは法律で義務づけられた制度ではなく、会社が独自に定める退職金規程に基づく福利厚生です。そのため、制度の有無や金額、勤続年数などの条件は会社ごとに異なります。
意味②:退職後にもらえる公的給付金の“総称”として使われるケース
2つ目は、近年インターネット広告などで広まった使われ方で、退職後にもらえる公的な給付金(失業手当や傷病手当金など)をまとめて「退職給付金」と呼ぶケースです。
ただし注意したいのは、「退職給付金」という名前の公的制度が単独で存在するわけではないという点です。実際には、雇用保険や健康保険など複数の制度から、条件を満たした人がそれぞれ給付を受ける仕組みです。後半で詳しく解説します。
退職給付金と失業手当の違い
「退職給付金と失業手当の違い」は特に多く検索される疑問です。ここでは、意味①の「会社の退職金」と、公的な「失業手当」を比較して整理します。
目的の違い
会社の退職給付金(退職金)は、長年の勤務に報いるための会社からの支払いです。一方、失業手当(雇用保険の基本手当)は、失業中の生活を支え、再就職を後押しするための公的給付です。原資も、前者は会社、後者は雇用保険です。
受給条件の違い
退職金の条件は会社の退職金規程次第で、「勤続3年以上」などを条件とする企業が多く見られます。一方、失業手当の条件は雇用保険法で全国共通に定められており、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あり、失業の状態にあることが必要です。
両方もらえる?
両者は原資も目的も別の制度のため、条件を満たせば退職金と失業手当の両方を受け取ることができます。退職金を受け取ったことが失業手当の支給に影響することは、基本的にありません。
退職後にもらえる主な給付金の一覧
意味②の「退職後にもらえる公的給付金」には、いくつかの種類があります。自分がどれに当てはまるかを知っておくことが大切です。
失業手当(雇用保険の基本手当)
働く意思と能力があるのに就職できていない人が、ハローワークで手続きをして受け取る給付です。退職後にもらえる給付金の代表格です。
傷病手当金(健康保険)
在職中に病気やケガで働けなくなった場合に、健康保険から支給される給付です。一定の条件を満たせば、退職後も継続して受給できるケースがあります。「退職給付金」として宣伝されるサービスは、主にこの傷病手当金を指していることが多くあります。
再就職手当(雇用保険)
失業手当の支給日数を一定以上残して早期に再就職した場合に受け取れる給付です。早く再就職するほど得になる仕組みです。
教育訓練給付(雇用保険)
厚生労働大臣が指定する講座を受講・修了した場合に、費用の一部が支給される給付です。学び直しやスキルアップを支援します。
「退職給付金制度」をうたうサービスに注意
「退職給付金がもらえる」「退職前の申請で最大◯ヶ月分」などとうたう申請サポート広告を見かけたら、内容をよく確認することが重要です。
「退職給付金制度」という公的制度は存在しない
繰り返しになりますが、「退職給付金制度」という名前の単独の公的制度はありません。多くの場合、実態は健康保険の傷病手当金などの公的給付であり、それらの申請を有料で代行・サポートするサービスを指しています。
デメリット・手数料に注意
こうしたサポートは、受給額の一部(例:15〜30%程度)を手数料として請求するものが多く見られます。本来は自分でも申請できる給付であるため、サポートを使うと手取りが減る可能性があります。「退職給付金 デメリット」「退職給付金 怪しい」といった検索が多いのは、この点への不安の表れです。
「詐欺」と感じたら公的窓口へ
なかには、受給要件を満たさないのに申請を勧めたり、誇大な広告を行う事業者もあり、国民生活センターは申請サポートに関する消費者トラブルへの注意を呼びかけています。不正な受給は、後から返還や罰則の対象になるリスクがあります。少しでも不安を感じたら、契約前に公的窓口や消費生活センターに相談しましょう。
退職給付金(公的給付)は自分で申請できる
失業手当も傷病手当金も、本人が公的窓口に申請すれば手数料なしで受け取れる給付です。
どこに申請する?
- 失業手当・再就職手当・教育訓練給付:ハローワーク
- 傷病手当金:加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)
- 年金関係:年金事務所
申請の基本的な流れ
必要書類(離職票、雇用保険被保険者証、健康保険資格喪失証明書、本人確認書類など)を準備し、それぞれの窓口で申請します。手続き方法がわからない場合も、各窓口で無料で相談・案内を受けられます。まずは公的窓口に問い合わせるのが、もっとも確実で損のない方法です。
退職給付金に関するよくある質問(FAQ)
Q. 退職給付金とは結局どういう意味ですか?
文脈によって2つの意味があります。1つは会社が支払う退職金(退職給付制度)、もう1つは退職後にもらえる公的給付金(失業手当・傷病手当金など)の総称としての使われ方です。「退職給付金」という単独の公的制度があるわけではありません。
Q. 退職給付金と失業手当は何が違う?
会社の退職金は勤務への功労に対して会社が支払うもの、失業手当は失業中の生活を支えるために雇用保険から支給される公的給付です。原資も目的も条件も異なり、条件を満たせば両方受け取れます。
Q. 退職給付金は自分で申請できる?手数料はかかる?
失業手当や傷病手当金などの公的給付は、本人がハローワークや健康保険の窓口で申請すれば手数料はかかりません。有料の申請サポートを使うと受給額の一部が手数料として差し引かれる場合があるため、まず自分で申請できないか確認しましょう。
Q. 「退職給付金制度」の広告は怪しい?
「退職給付金制度」という公的制度自体は存在せず、多くは傷病手当金などの申請を有料代行するサービスです。悪質な事業者もいるため、手数料・受給要件をよく確認し、不安があれば契約前に公的窓口や消費生活センターに相談してください。
Q. パートやアルバイトでも退職給付金(公的給付)はもらえる?
会社の退職金は規程次第ですが、失業手当などの公的給付は雇用形態を問わず、雇用保険の加入条件(週20時間以上・31日以上の雇用見込み)を満たしていれば対象になります。
監修者:和久田 典宏(わくだ のりひろ)
弁護士/未来創造弁護士法人
静岡県浜松市出身。司法試験合格後、弁護士として企業法務を中心に活動しています。
現在は、経営者との継続的な対話を通じて、契約書の作成・確認、事業上のリスク整理、トラブル予防などを支援。年間200通を超える契約書関連の依頼に対応し、法的なリスクを指摘するだけでなく、事業の実態やビジネスモデルを踏まえた実務的な提案を強みとしています。
主な所属・活動
・東京弁護士会 中小企業法律支援センター
・東京弁護士会 新進会員活動委員会
・日本弁護士連合会 法曹養成制度改革実現本部 広報チーム幹事
主なセミナー・講演実績
・日本M&Aセンター
・AZ-COM丸和・支援ネットワーク
・その他、企業・経営者向け講演多数
