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退職給付金一覧17種類|条件・金額・申請期限をわかりやすく解説

「退職給付金」という言葉を目にして、自分ももらえるのだろうか、そもそも何のことなのだろうと気になってこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、退職給付金とは特定の制度の名前ではなく、退職の前後に申請することで国や自治体から受け取れる公的給付・減免制度の総称です。失業手当(失業保険)や傷病手当金をはじめ、対象となる制度は大きく分けて17種類あります。

そして最も重要なのは、これらの制度がすべて「申請主義」だという点です。条件を満たしていても、自分で申請しなければ1円も受け取れません。退職後に「知っていれば数十万円受け取れたのに」と後悔する人が後を絶たないのは、このためです。

さらに2025年4月の雇用保険法改正により、自己都合で退職した場合の給付制限が原則2か月から1か月に短縮され、失業手当を以前より早く受け取れるようになりました。一方で就業手当が廃止されるなど、制度は毎年のように変わっています。

この記事では、退職前後に申請できる給付金・減免制度17種類を一覧表で整理したうえで、それぞれの対象者・金額の目安・申請期限・申請先まで解説します。あわせて「自分の状況ならどれが該当するか」を逆引きできる章も用意しました。もらい忘れを防ぐための地図として活用してください。

この記事でわかること・退職給付金とは何か(退職金・失業手当との違い)・退職前後に申請できる給付金・減免制度17種類の一覧と金額の目安・自分の状況(自己都合/病気/出産/介護/60歳以上/パート)で該当する制度・同時に受け取れる制度・受け取れない制度の組み合わせ・「退職給付金200万円」の実態と、悪質なサポート業者の見分け方

1. 退職給付金とは?「退職金」とは別物の公的給付の総称

退職給付金とは、退職の前後に一定の条件を満たした人が、国・自治体・公的保険から受け取れるお金の総称です。ハローワークが窓口となる雇用保険の給付、健康保険や年金から支給される給付、市区町村が実施する減免制度など、管轄も窓口もバラバラの制度をまとめて呼んでいる言葉だと理解してください。

この「総称である」という点を押さえておかないと、制度の探し方を間違えてしまいます。まずは似た言葉との違いから整理していきましょう。

1-1. 退職給付金と退職金・退職手当の違い

最も混同されやすいのが「退職金(退職手当)」です。両者はお金の出どころがまったく異なります。

退職給付金退職金(退職手当)
支払う主体国・公的保険・自治体勤務していた会社
根拠雇用保険法・健康保険法など法律会社の就業規則・退職金規程
対象になる人法律の条件を満たすすべての人退職金制度がある会社の従業員のみ
金額の決まり方賃金や加入期間をもとに法律で計算勤続年数・役職などを会社が独自に設定
受け取り方自分で申請する(申請主義)原則として会社が手続きする

退職金は、制度のない会社に勤めていれば1円も出ません。一方の退職給付金は、条件さえ満たしていれば会社の制度に関係なく受け取れます。つまり「うちの会社に退職金はないから、退職してももらえるお金はない」というのは誤解です。

1-2. 退職給付金と失業手当(失業保険)の違い

「退職給付金=失業手当のこと」と考えている方も多いのですが、正確には失業手当は退職給付金という大きな枠の中にある制度のひとつにすぎません。

退職給付金失業手当(基本手当)
意味退職前後にもらえる公的給付の総称雇用保険の給付のひとつ
対象になる人制度ごとに異なる働く意思と能力があり求職活動中の人
病気で働けない場合傷病手当金などが該当する対象外(受給できない)
窓口ハローワーク/協会けんぽ/市区町村などハローワーク

特に注意したいのが、病気やけがで働けない状態で退職した場合、失業手当は受け取れないという点です。「働く意思と能力があること」が受給条件だからです。この場合は健康保険の傷病手当金が受け皿になります。失業手当しか知らないまま退職してしまうと、本来受け取れたはずの傷病手当金を取り逃がすことになります。

1-3. 「退職給付金制度」という名前の制度は存在しない

インターネット上には「退職給付金制度に申請すれば〇〇万円」といった表現が並んでいますが、法律上「退職給付金制度」という単独の制度は存在しません。あくまで複数の制度をまとめた通称です。

そのため、市区町村やハローワークの窓口で「退職給付金の申請をしたい」と伝えても話が通じません。「失業手当の受給手続きをしたい」「傷病手当金の申請書がほしい」というように、個別の制度名で伝える必要があります。この記事の一覧表は、そのまま窓口で使える制度名の一覧としても活用できます。

1-4. 給付金は「申請しないともらえない」=申請主義

公的な給付制度のほとんどは申請主義です。行政側から「あなたは対象なので受け取ってください」と連絡が来ることはありません。条件を満たしているかどうかを自分で確認し、期限内に自分で書類を出す必要があります。

しかも制度ごとに申請期限がバラバラです。再就職手当は就職日の翌日から1か月以内、傷病手当金は時効2年、国民健康保険料の軽減は離職の翌日から翌年度末まで、といった具合です。一つでも期限を過ぎると、その分は永久に受け取れません。

もらい忘れが起きやすい3つのパターン① 制度自体を知らなかった(教育訓練支援給付金、住居確保給付金など)② 退職してから知ったが、退職前にしかできない準備があった(傷病手当金の継続受給など)③ 知っていたが申請期限を過ぎてしまった(再就職手当、就業促進定着手当など)

2.【一覧表】退職前後にもらえる給付金17種類 早見表

まずは全体像をつかんでください。以下の一覧は、管轄する制度ごとに3つのグループに分けています。自分に当てはまりそうなものにチェックを入れながら読み進めると、抜け漏れを防げます。

① 雇用保険からもらえる給付金(窓口:ハローワーク)

№制度名主な対象者金額の目安申請期限
1失業手当(基本手当)働く意思と能力があり求職活動中の人賃金日額の45〜80%×90〜330日離職日の翌日から1年
2高年齢求職者給付金65歳以上で離職した人基本手当日額の30日分または50日分(一時金)離職日の翌日から1年
3特例一時金季節労働など短期雇用特例被保険者基本手当日額の40日分(当分の間)離職日の翌日から6か月
4再就職手当失業手当の支給残日数を多く残して再就職した人支給残日数×基本手当日額×60〜70%就職日の翌日から1か月
5就業促進定着手当再就職手当を受け、賃金が下がった人上限は支給残日数×基本手当日額×20%再就職6か月経過後の翌日から2か月
6教育訓練給付金一定期間雇用保険に加入していた人受講費用の20〜80%(最大年64万円)受講修了の翌日から1か月
7教育訓練支援給付金45歳未満で専門実践教育訓練を受講する離職者基本手当日額の60%(2027年3月末まで)訓練開始前にハローワークへ
8移転費・広域求職活動費など遠方の就職・訓練で費用がかかる人交通費・宿泊費などの実費相当就職・転居日の翌日から1か月

② 健康保険・年金からもらえる給付金(窓口:協会けんぽ・健康保険組合・年金事務所)

№制度名主な対象者金額の目安申請期限
9傷病手当金病気やけがで働けない状態で退職した人標準報酬日額の3分の2×最長1年6か月労務不能だった日の翌日から2年
10出産手当金・出産育児一時金出産のために退職した人標準報酬日額の3分の2/一時金50万円出産日等の翌日から2年
11育児休業給付金・出生後休業支援給付金育児休業を取得する人賃金の67%(上乗せで最大80%)各支給単位期間ごと
12介護休業給付金家族の介護のため休業する人賃金日額の67%×通算93日まで休業終了日の翌日から2か月
13高額療養費制度医療費が高額になった人自己負担限度額を超えた分の払い戻し診療月の翌月初日から2年

③ 税・自治体の減免制度など(窓口:市区町村・ハローワーク)

№制度名主な対象者金額の目安申請期限
14国民健康保険料の軽減倒産・解雇・雇止めで離職した65歳未満の人前年の給与所得を30%とみなして保険料を算定離職の翌日から翌年度末
15国民年金保険料の免除・納付猶予失業により保険料の納付が困難な人全額〜4分の1の免除離職後すみやかに(さかのぼり申請も可)
16住居確保給付金離職・廃業2年以内などで家賃の支払いが困難な人家賃相当額を原則3か月(最長9か月)離職・廃業から2年以内
17求職者支援制度(職業訓練受講給付金)雇用保険の失業手当を受給できない求職者月10万円+通所手当訓練開始前にハローワークへ

※金額や期限は2026年8月時点の情報です。制度改正が頻繁に行われるため、申請前に必ず各窓口で最新の内容をご確認ください。

【CTA設置箇所】一覧表の直後/「17種類のうち自分はどれが対象? 無料でチェック」

3. 雇用保険からもらえる給付金一覧

雇用保険から支給される給付は、退職給付金の中心となる存在です。窓口はすべて住所地を管轄するハローワークで、退職後に会社から届く「離職票」がすべての起点になります。

3-1. 失業手当(基本手当)

退職後の生活を支える最も基本的な給付です。正式名称は「基本手当」ですが、一般には失業手当・失業保険と呼ばれています。

項目内容
対象者離職前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あり、働く意思と能力があって求職活動を行っている人。倒産・解雇などの会社都合の場合は、離職前1年間に通算6か月以上で条件を満たします。
もらえる金額基本手当日額=賃金日額(離職前6か月の賃金総額÷180)の45〜80%。賃金が低い人ほど率が高くなります。これに給付日数を掛けた額が総支給額です。
給付日数自己都合退職は被保険者期間に応じて90日・120日・150日。会社都合や特定理由離職者は年齢と被保険者期間に応じて90〜330日。
受給までの流れハローワークで求職申込→受給資格決定→待期7日間→(自己都合は給付制限1か月)→雇用保険説明会→4週間ごとの失業認定→振込。
申請期限離職日の翌日から1年間(受給期間)。この期間を過ぎると残日数があっても打ち切られます。
申請先住所地を管轄するハローワーク
2025年4月改正|自己都合退職の給付制限が1か月に短縮従来、自己都合で退職した場合は7日間の待期期間のあと原則2か月間は失業手当が支給されませんでした。2025年4月1日以降に離職した人は、この給付制限が原則1か月に短縮されています。さらに、離職前1年以内または給付制限期間中に自ら教育訓練を受けた場合は、給付制限そのものが解除されます。ただし5年間に3回以上自己都合で離職している場合は、給付制限が3か月になります。

注意点:退職前に働けない状態になっている場合、失業手当は受け取れません。「働く意思と能力があること」が受給要件だからです。病気やけがで働けない期間は、後述する受給期間の延長申請を行い、回復してから失業手当を受け取る流れになります。

3-2. 高年齢求職者給付金

65歳以上で離職した人が受け取る、一時金タイプの給付です。65歳未満の失業手当のように4週間ごとに支給されるのではなく、まとめて一度に支給されます。

項目内容
対象者65歳以上で離職し、離職前1年間に雇用保険の被保険者期間が通算6か月以上ある人。
もらえる金額被保険者期間1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分。
申請期限離職日の翌日から1年以内
申請先住所地を管轄するハローワーク

この制度の大きなメリットは、老齢厚生年金と同時に受け取れる点です。65歳未満の失業手当は老齢厚生年金と併給できませんが、高年齢求職者給付金は年金を止めることなく受け取れます。

3-3. 特例一時金

季節的に雇用される人や、1年未満の期間を定めて雇用される人(短期雇用特例被保険者)が離職したときの給付です。農業・漁業・建設業などの季節労働者が主な対象になります。

項目内容
対象者短期雇用特例被保険者として、離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上ある人。
もらえる金額基本手当日額の30日分(当分の間は40日分)。
申請期限離職日の翌日から6か月以内。他の給付より期限が短いため要注意です。
申請先住所地を管轄するハローワーク

3-4. 再就職手当

失業手当の受給期間を大きく残して早期に再就職した人へのボーナス的な給付です。「早く就職すると損」という状態を防ぐための制度で、まとまった額になることが多く、見逃せません。

項目内容
対象者失業手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っており、1年を超えて勤務することが確実な職に就いた人。待期7日間の満了後に就職したことなど、全部で7つの要件があります。
もらえる金額支給残日数が3分の1以上なら「支給残日数×基本手当日額×60%」、3分の2以上なら「支給残日数×基本手当日額×70%」。
申請期限就職日の翌日から1か月以内。期限が非常に短いため、内定が出た時点で書類の準備を始めてください。
申請先住所地を管轄するハローワーク(採用証明書は就職先に記入してもらいます)

自己都合退職の場合の注意点:給付制限期間中の最初の1か月間は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職でなければ再就職手当の対象になりません。転職サイトから自分で応募して決めた場合は対象外になることがあります。

3-5. 就業促進定着手当

再就職手当を受け取ったあと、再就職先の賃金が前職より下がってしまった場合に、その差額を一定期間補填する制度です。

項目内容
対象者再就職手当を受給し、同じ事業主のもとで6か月以上雇用が継続しており、再就職後6か月間の賃金日額が離職前の賃金日額を下回っている人。
もらえる金額(離職前の賃金日額-再就職後6か月の賃金日額)×再就職後6か月の賃金支払基礎日数。ただし上限があります。
上限2025年4月以降は「基本手当日額×再就職手当の支給残日数×20%」。改正前の40%(早期再就職者は30%)から引き下げられました。
申請期限再就職から6か月経過した日の翌日から2か月以内
申請先住所地を管轄するハローワーク
2025年4月改正|就業手当は廃止されました1年を超える雇用の見込みがない短期的な職に就いた場合に支給されていた「就業手当」は、2025年4月1日をもって廃止されました。就業促進定着手当の上限も40%(30%)から20%へ引き下げられています。古い記事では就業手当が紹介されていることがありますが、現在は申請できません。

3-6. 教育訓練給付金

資格取得やスキルアップのための講座を受講した際に、受講費用の一部が戻ってくる制度です。退職して次のキャリアを考えている人にとって、最も活用価値の高い制度のひとつです。訓練の種類によって3つに分かれます。

種類給付率内容と上乗せ上限額
一般教育訓練給付金20%ビジネススキル系の講座など幅広い講座が対象年間10万円
特定一般教育訓練給付金最大50%40%+資格取得し就職した場合に10%上乗せ年間25万円
専門実践教育訓練給付金最大80%50%+資格取得し就職で20%+賃金が5%以上上昇でさらに10%上乗せ年間64万円
項目内容
対象者雇用保険の被保険者期間が原則3年以上(初めて利用する場合は1年以上)ある人。離職者も、離職日の翌日から1年以内に受講を開始すれば対象になります。
申請期限受講修了日の翌日から1か月以内(専門実践は6か月ごとの申請)。
申請先住所地を管轄するハローワーク。専門実践・特定一般は受講開始1か月前までに事前手続きが必要です。

ポイント:専門実践教育訓練は看護師・保育士・介護福祉士・ITスキルなど、資格取得に直結する講座が中心です。受講前の事前手続きを忘れると1円も支給されないため、講座選びと並行してハローワークへ相談してください。

3-7. 教育訓練支援給付金

専門実践教育訓練を受講している間、生活費として失業手当に近い水準のお金を受け取れる制度です。訓練中は働けないという不安を解消するための制度で、あまり知られていないぶん取り逃がしが多い給付でもあります。

項目内容
対象者受講開始時に45歳未満の離職者で、専門実践教育訓練を昼間通学で受講し、基本手当の受給資格がある人など。
もらえる金額基本手当日額の60%。訓練を受けている期間中、失業手当の支給が終わったあとも支給されます。
注意点2027年3月31日までの時限措置です。給付率も2025年4月から80%→60%に引き下げられています。
申請先住所地を管轄するハローワーク(訓練開始前の事前手続きが必須)

3-8. 移転費・広域求職活動費などの実費支援

就職活動や訓練の受講に費用がかかる場合、その実費を補助する制度群です。金額は大きくありませんが、条件に当てはまるなら確実に申請しておきたいものです。

制度名内容支給額の目安
移転費ハローワークの紹介による就職や訓練受講で転居が必要になった場合鉄道賃・移転料・着後手当など
広域求職活動費ハローワークの紹介で、往復200km以上離れた事業所を訪問した場合交通費+宿泊料
短期訓練受講費教育訓練給付の対象外となる短期講座を受講し修了した場合受講費用の20%(上限10万円)
求職活動関係役務利用費面接や訓練受講のために保育などのサービスを利用した場合利用費用の80%(上限あり)

いずれも原則としてハローワークの紹介を経由していることが条件です。自己応募の場合は対象外になるため、遠方への就職を考えている人は先にハローワークへ相談してください。

4. 健康保険・年金からもらえる給付金一覧

体調や家庭の事情で退職する場合は、雇用保険ではなく健康保険からの給付が中心になります。特に傷病手当金は金額が大きく、退職前の準備次第で受け取れるかどうかが決まる制度です。この章が本記事で最も重要なパートです。

4-1. 傷病手当金(退職後も継続して受け取れる条件)

業務外の病気やけがで働けなくなったときに、健康保険から支給される給付です。最長で1年6か月にわたって支給されるため、総額は数百万円になることもあります。

項目内容
対象者健康保険の被保険者で、業務外の病気やけがの療養のため労務不能となり、連続する3日間の待期期間を経て4日目以降も働けない状態にある人。
もらえる金額支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均額÷30×3分の2。月給30万円の人ならおよそ月20万円が目安です。
支給期間支給開始日から通算して1年6か月。途中で復職した期間があれば、その分だけ後ろにずれます。
申請期限労務不能であった日ごとにその翌日から2年(時効)。
申請先全国健康保険協会(協会けんぽ)または勤務先の健康保険組合
退職後も傷病手当金を受け取るための3つの条件(継続給付)① 退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること(協会けんぽから健保組合への移動などがあっても、空白がなければ通算できます)② 退職日の時点で傷病手当金を受けているか、受けられる状態(労務不能)であること③ 退職日に出勤していないこと(挨拶のために出社しただけでも「出勤」と扱われる場合があります)※ この3つはいずれも退職日までに満たしておく必要があります。退職してから知っても手遅れになるため、体調を崩している方はまず在職中に医師へ相談してください。

なお、傷病手当金と失業手当は同時に受け取れません。働けない状態では失業手当の受給要件を満たさないためです。まず傷病手当金を受け取り、そのあいだに失業手当の受給期間延長を申請しておき、回復してから失業手当に切り替えるという順番になります。

4-2. 出産手当金・出産育児一時金

出産を理由に退職する場合に受け取れる給付です。出産手当金は傷病手当金と同じく、条件を満たせば退職後も継続して受け取れます。

制度名内容金額
出産手当金産前42日(多胎妊娠は98日)から産後56日までの、働かなかった期間について支給標準報酬日額の3分の2
出産育児一時金妊娠4か月以上で出産した場合に、出産費用の補助として支給子ども1人につき50万円

出産手当金についても、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があり、退職日に出勤していないことなどの条件を満たせば、退職後も産後56日まで受給を継続できます。

4-3. 育児休業給付金・出生後休業支援給付金

育児休業を取得する場合の給付です。2025年4月に新しい給付が加わり、条件を満たせば育休中の手取りが実質10割になる仕組みが整いました。

制度名内容給付率
育児休業給付金原則1歳(最長2歳)まで、育児休業中に支給休業開始から180日は67%、以降50%
出生後休業支援給付金子の出生後8週以内に夫婦ともに14日以上の育休を取得した場合、最大28日間上乗せ13%(育休給付と合わせて80%)
育児時短就業給付金2歳未満の子を養育しながら時短勤務をする場合時短勤務中の賃金の10%

育児休業給付は社会保険料が免除され、給付金自体も非課税であるため、賃金の80%が支給されれば手取りベースではおおむね従前の10割相当になります。

4-4. 介護休業給付金

家族の介護のために休業する場合に、雇用保険から支給される給付です。介護離職を防ぐための制度で、退職ではなく休業を選ぶという選択肢を持てるようになります。

項目内容
対象者負傷・疾病・身体上または精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある家族を介護するために休業する人。
もらえる金額休業開始時賃金日額×支給日数×67%
期間対象家族1人につき通算93日まで。3回まで分割して取得できます。
申請期限休業終了日の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日まで
申請先原則として勤務先経由でハローワークへ

4-5. 高額療養費制度

1か月に支払った医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。退職して収入が下がった年は自己負担限度額も下がるため、あらためて確認する価値があります。

項目内容
対象者公的医療保険の加入者で、同一月・同一医療機関の自己負担額が限度額を超えた人。
自己負担限度額年齢と所得区分によって異なります。たとえば年収約370〜770万円の区分では「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」。
申請期限診療を受けた月の翌月初日から2年
申請先加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国保)

あらかじめ「限度額適用認定証」を用意するか、マイナ保険証を利用すれば、窓口での支払い自体を限度額までに抑えられます。入院や手術の予定がある場合は、事前に手続きしておきましょう。

5. 退職後に「支出を減らせる」減免制度一覧

見落とされがちですが、退職後の家計を守るうえでは「もらう」制度と同じくらい「払わなくてよくする」制度が効きます。退職すると健康保険料・年金保険料・住民税を自分で払うことになり、収入が途絶えたタイミングで前年の所得を基準にした請求が届くためです。ここを軽減できるかどうかで、手元に残るお金は大きく変わります。

5-1. 国民健康保険料の軽減(非自発的失業者の軽減特例)

倒産・解雇・雇止めなど、自分の意思によらない理由で離職した人の国民健康保険料を大幅に軽減する制度です。金額のインパクトが最も大きい制度のひとつです。

項目内容
対象者離職日時点で65歳未満で、雇用保険の特定受給資格者(離職理由コード11・12・21・22・31・32)または特定理由離職者(コード23・33・34)に該当する人。
軽減内容前年の給与所得を「100分の30」とみなして保険料を算定します。実質的に給与所得が7割カットされた前提で計算されるため、保険料は大きく下がります。
対象期間離職日の翌日からその翌年度末まで(最長で約2年間)。
申請先市区町村の国民健康保険窓口。雇用保険受給資格者証を持参します。

自己都合退職でも対象になる場合があります。体調不良や家族の介護など、やむを得ない事情による退職は「特定理由離職者」と判定されることがあります。離職理由コードは雇用保険受給資格者証で確認できるので、自己都合だからと諦めず窓口で相談してください。

5-2. 国民年金保険料の免除・納付猶予(失業特例)

退職して収入がなくなっても、国民年金保険料の納付義務はなくなりません。ただし失業した場合は、通常の所得審査とは別枠の特例が用意されています。

項目内容
対象者失業により保険料の納付が困難な人。通常は本人・配偶者・世帯主の前年所得で審査されますが、失業特例では本人の所得を除外して審査されます。
免除の区分全額免除/4分の3免除/半額免除/4分の1免除、または納付猶予。
メリット未納のまま放置すると年金額に反映されず、障害年金・遺族年金の受給資格を失うおそれもあります。免除であれば受給資格期間に算入され、全額免除でも老齢基礎年金の2分の1が保障されます。
申請先年金事務所または市区町村の国民年金窓口。離職票または雇用保険受給資格者証が必要です。

免除された保険料は10年以内であれば追納でき、追納すれば将来の年金額を満額まで戻せます。まずは未納にせず免除を申請することが重要です。

5-3. 住居確保給付金

離職などで住まいを失うおそれがある人に対して、自治体が家賃相当額を直接大家さんへ支払ってくれる制度です。

項目内容
対象者離職・廃業から2年以内、または個人の責任によらず収入が減少し、住居を失うおそれがある人。収入・資産要件および誠実な求職活動が条件です。
もらえる金額市区町村ごとに定める上限額の範囲で家賃相当額。原則3か月、延長により最長9か月。
申請先お住まいの自治体の自立相談支援機関(社会福祉協議会などが窓口となっている場合が多い)

5-4. 求職者支援制度(職業訓練受講給付金)

雇用保険の失業手当を受け取れない人が、無料の職業訓練を受けながら月10万円の生活支援を受けられる制度です。雇用保険に加入していなかった人、被保険者期間が足りない人、失業手当を受け終わってしまった人の受け皿になります。

項目内容
対象者ハローワークに求職の申込みをしている、雇用保険の失業手当を受給できない人。本人収入が月8万円以下、世帯収入が月30万円以下、世帯金融資産300万円以下などの要件があります。
もらえる金額職業訓練受講手当 月10万円+通所手当(交通費)+寄宿手当。
注意点訓練は原則としてすべての回に出席する必要があります。やむを得ない理由なく欠席すると支給されません。
申請先住所地を管轄するハローワーク

そのほか知っておきたい制度

制度名内容窓口
住民税の減免失業により納付が困難な場合、自治体独自の判断で減免・徴収猶予が認められることがある市区町村の税務課
未払賃金立替払制度勤務先の倒産で給与・退職金が未払いのまま退職した場合、未払額の8割を国が立替払い(年齢に応じ上限88万〜296万円)労働基準監督署・独立行政法人労働者健康安全機構
労災保険の休業補償給付業務上または通勤途上の病気・けがで働けない場合、休業4日目から給付基礎日額の60%+特別支給金20%労働基準監督署

6.【状況別】あなたがもらえる給付金の逆引き診断

ここまで制度ごとに解説してきましたが、実際に知りたいのは「自分の場合はどれが該当するのか」だと思います。この章では退職の事情別に、確認すべき制度を整理しました。当てはまる項目から読んでください。

6-1. 自己都合で退職した人

確認すべき制度ポイント
失業手当(基本手当)2025年4月から給付制限は原則1か月。給付日数は90〜150日
再就職手当早期に再就職すれば残日数の60〜70%を受給できる
教育訓練給付金離職から1年以内に受講開始すれば対象
国民年金保険料の免除失業特例により本人所得を除外して審査される
国民健康保険料の軽減体調不良・介護など理由によっては特定理由離職者と判定される可能性あり

6-2. 会社都合・退職勧奨で退職した人

会社都合退職は、給付面で最も条件が優遇されます。自己都合として処理されていないか、離職票の離職理由を必ず確認してください。

確認すべき制度ポイント
失業手当(基本手当)給付制限なし。給付日数は年齢と被保険者期間により最大330日
国民健康保険料の軽減前年給与所得を30%とみなして算定。軽減額が大きい
住居確保給付金家賃の支払いが困難な場合、原則3か月(最長9か月)
未払賃金立替払制度倒産により賃金が未払いの場合、未払額の8割を国が立替

離職票の離職理由に納得がいかない場合は、ハローワークに異議を申し立てられます。実態として退職勧奨だったにもかかわらず自己都合と記載されているケースは珍しくありません。メールや面談記録など、経緯がわかる資料を持参して相談してください。

6-3. 病気・けがで働けない状態で退職する人

この状況の方が最も注意すべきは、失業手当が受け取れないという点です。代わりの受け皿となるのが傷病手当金ですが、受給には退職前の準備が欠かせません。

確認すべき制度ポイント
傷病手当金最長1年6か月、標準報酬日額の3分の2。退職前に3つの条件を満たす必要あり
失業手当の受給期間延長働けない期間は受給期間を最長3年延長できる。回復後に受給
高額療養費制度治療費が高額になる場合は限度額適用認定証を用意
国民年金保険料の免除所得が下がるため免除の対象になりやすい
障害年金症状が固定し一定の障害状態にある場合は請求を検討
退職前にやっておくべきこと① 在職中に医師の診断を受け、傷病手当金の申請(初回)を済ませておく② 健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あるか確認する③ 退職日は出勤せず、有給休暇または欠勤とするこの3点を満たしていないと、退職後の継続給付は受けられません。

6-4. 妊娠・出産・育児で退職する人

確認すべき制度ポイント
出産手当金退職日までに継続1年以上の被保険者期間があれば産後56日まで継続受給
出産育児一時金子ども1人につき50万円
育児休業給付金・出生後休業支援給付金休業を選べるなら退職より有利になる場合が多い
失業手当の受給期間延長妊娠・出産・育児はすぐに働けない理由として延長対象

妊娠・出産を理由に退職した場合、そのままでは失業手当の受給期間1年が経過してしまいます。退職後すみやかに受給期間延長の手続きを行えば、最長3年間延長でき、育児が落ち着いてから失業手当を受け取れます。

6-5. 家族の介護で退職する人

確認すべき制度ポイント
介護休業給付金退職前に休業を選べるなら賃金の67%を通算93日まで受給できる
特定理由離職者の認定介護を理由とした退職は給付制限なしと判定される可能性がある
国民健康保険料の軽減特定理由離職者に該当すれば軽減の対象
失業手当の受給期間延長介護に専念する期間は受給期間を延長できる

6-6. 60歳以上・定年退職の人

確認すべき制度ポイント
失業手当(65歳未満)定年退職は給付制限なし。老齢厚生年金とは同時に受け取れない
高年齢求職者給付金(65歳以上)30日分または50日分の一時金。年金と同時に受給できる
高年齢雇用継続基本給付金60歳以降に賃金が75%未満へ低下した場合に支給(縮小傾向のため要確認)
失業手当の受給期間延長(定年退職の特例)離職後しばらく休養したい場合、最長1年の延長を申請できる

6-7. パート・アルバイト・契約社員の人

「正社員ではないから対象外」と思い込んでいる方が非常に多いのですが、雇用保険や健康保険に加入していれば、雇用形態にかかわらず給付の対象です。

確認すべき制度ポイント
失業手当雇用保険に加入し、被保険者期間の要件を満たしていれば受給可能
傷病手当金勤務先の健康保険に加入していれば対象。国民健康保険には傷病手当金がない
求職者支援制度雇用保険に加入していなかった場合の受け皿。月10万円+訓練
雇止めの場合の特定理由離職者契約更新を希望したのに更新されなかった場合、給付制限なしになる

注意:国民健康保険には傷病手当金の制度がありません。勤務先の健康保険(社会保険)に加入していたかどうかが分かれ目になります。給与明細で健康保険料が天引きされていたか確認してください。

7. 退職給付金は同時にもらえる?併給可否マトリクス

複数の制度に該当する場合、すべてを同時に受け取れるとは限りません。組み合わせによっては一方が支給停止になったり、差額のみの支給になったりします。代表的な組み合わせを整理しました。

組み合わせ可否解説
失業手当 × 傷病手当金不可働けない状態では失業手当の要件を満たさない。傷病手当金→受給期間延長→失業手当の順に受け取る
失業手当 × 老齢厚生年金(65歳未満)不可失業手当を受給している間は年金が支給停止になる
高年齢求職者給付金 × 老齢厚生年金可65歳以上は併給できる。定年後の大きなメリット
失業手当 × 教育訓練給付金可訓練を受けながら失業手当を受給できる
失業手当 × 再就職手当可再就職手当は残日数に対する前払い的な給付。受け取ると残日数は消滅する
再就職手当 × 就業促進定着手当可再就職手当の受給が就業促進定着手当の前提条件
傷病手当金 × 出産手当金調整出産手当金が優先。傷病手当金の額が上回る場合は差額のみ支給
傷病手当金 × 障害厚生年金調整同一の傷病による場合は調整され、差額のみ支給
失業手当 × 求職者支援制度不可求職者支援制度は失業手当を受給できない人が対象
「傷病手当金のあとに失業手当」がもっとも受給額が大きくなる王道パターン病気やけがで退職する場合、傷病手当金を最長1年6か月受け取り、そのあいだに失業手当の受給期間延長を申請しておきます。回復して働ける状態になってから失業手当に切り替えると、両方を無駄なく受け取れます。ただし受給期間の延長申請には期限があります。働けない状態が30日続いた時点から申請できるので、早めにハローワークへ相談してください。

8. 退職給付金の申請方法と流れ|退職前・退職後のタイムライン

制度を知っていても、動く順番を間違えると受け取れないものがあります。退職の前後でやるべきことを時系列で整理しました。

8-1. 退職前にやっておくべき3つの準備

やること理由
1体調不良があるなら在職中に受診し、傷病手当金の初回申請を済ませる退職日時点で「労務不能」であることが継続給付の条件。退職後に発症しても対象外
2離職理由(自己都合か会社都合か)を会社と確認する給付制限の有無、給付日数、国民健康保険料の軽減可否すべてに影響する
3健康保険を「任意継続」にするか「国民健康保険」にするか試算する任意継続の申請期限は退職日の翌日から20日以内。過ぎると選べなくなる

8-2. 退職後のスケジュール

時期やること
退職後〜10日程度会社から離職票が届く。2週間経っても届かない場合は会社またはハローワークへ連絡する
14日以内市区町村で国民健康保険・国民年金の切替手続き。同時に保険料の軽減・免除も申請する
すみやかにハローワークで求職の申込みと受給資格の決定。ここから待期7日間が始まる
30日経過後〜病気・出産・育児・介護等ですぐに働けない場合は、受給期間延長を申請する(最長3年)
受給資格決定後雇用保険説明会に出席し、4週間ごとの失業認定日に求職活動実績を報告する
再就職が決まったら就職日の翌日から1か月以内に再就職手当を申請する

8-3. 必要書類チェックリスト

手続き必要なもの
失業手当の受給手続き離職票1・2、マイナンバー確認書類、本人確認書類、証明写真2枚、本人名義の預金通帳またはキャッシュカード、印鑑
傷病手当金の申請傷病手当金支給申請書(本人記入欄・事業主証明欄・医師の意見欄)、健康保険証の情報
国民健康保険料の軽減雇用保険受給資格者証、マイナンバー確認書類、本人確認書類
国民年金保険料の免除年金手帳または基礎年金番号通知書、離職票または雇用保険受給資格者証
再就職手当再就職手当支給申請書、採用証明書、雇用保険受給資格者証

8-4. 受給期間の延長申請を忘れない

失業手当を受け取れる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。この期間内に受け取り終えなければ、残日数があっても打ち切られてしまいます。

ただし、病気・けが・妊娠・出産・育児・親族の介護などですぐに働けない場合は、働けない期間を最長3年まで加算できます(合計最長4年)。この手続きを「受給期間の延長」といい、忘れる人が非常に多い手続きです。体調を崩して退職した方、出産で退職した方は、退職後すみやかにハローワークへ相談してください。

9.「退職給付金200万円」は本当?よくある誤解と注意点

インターネット広告やSNSで「退職給付金で最大200万円」「最長28か月受け取れる」といった表現を見かけます。これらは完全な嘘ではありませんが、条件を満たした一部の人に当てはまるモデルケースであり、誰もが受け取れる金額ではありません。

9-1.「200万円」「28か月」の根拠

これらの数字は、傷病手当金と失業手当を組み合わせて最大限受給した場合の試算です。

内訳期間金額の目安(月給30万円の場合)
傷病手当金最長1年6か月(18か月)月およそ20万円 × 18か月 = 約360万円
失業手当90〜150日(3〜5か月)月およそ18万円 × 3〜5か月 = 約54〜90万円
合計最長で20か月以上条件次第で数百万円になり得る

ただし、これはあくまで傷病手当金を満額・最長期間受け取れた場合の上限値です。実際の支給額は在職中の給与水準で決まりますし、傷病手当金は「働けない状態が続いていること」を医師が証明し続けなければ支給されません。回復すればその時点で支給は終わります。「申請すれば誰でも200万円」ではないという点は、はっきり認識しておいてください。

9-2. 退職給付金サポートは怪しい?悪質業者の見分け方5つ

給付金の申請をサポートする事業者は数多く存在します。制度が複雑で書類も多いため、専門家の支援には確かな価値があります。一方で、不安をあおって高額な費用を請求したり、事実と異なる申請を指南したりする悪質な事業者が存在するのも事実です。次の5点を必ず確認してください。

チェック項目確認のしかた
1料金体系が明示されているか着手金・成功報酬の割合、追加費用の有無がサイト上に金額で書かれているか。「無料相談」の先が不透明なものは要注意
2「必ずもらえる」と断言していないか受給は個々の条件と医師の判断次第。断言する事業者は制度を正しく説明していない
3運営会社の情報が明記されているか法人名・所在地・代表者名・連絡先が特定商取引法に基づく表記として掲載されているか
4専門家が関与しているか社会保険労務士など有資格者の関与があるか。書類の代行作成は資格が必要な業務
5虚偽の申請を指南していないか「退職理由をこう書け」「この症状を訴えろ」といった指南は不正受給の教唆にあたる

9-3. 不正受給になるケースと罰則

実態と異なる申請は、意図の有無にかかわらず不正受給とみなされる可能性があります。

不正受給になりうる例内容
就労の事実を申告しない失業認定申告書にアルバイトを記載しない、日雇いの収入を隠す
働ける状態なのに労務不能と申告傷病手当金の申請で、実際には就労している
離職理由の虚偽申告実際は自己都合なのに会社都合と偽る
求職活動実績の虚偽行っていない求職活動を申告する

失業手当を不正に受給した場合、支給停止・不正受給額の全額返還に加えて、その2倍の額の納付を命じられます(いわゆる3倍返し)。悪質な場合は詐欺罪として刑事告発される可能性もあります。サポート事業者に勧められたとしても、事実と異なる申告は絶対に避けてください。

10. 退職給付金に関するよくある質問

Q. 退職給付金は自分で申請できますか?

A. できます。すべての制度は本人が窓口で申請できるように設計されており、申請そのものに費用はかかりません。ただし制度が複数にまたがる場合、どれに該当するかの判断や書類の準備が複雑になります。特に傷病手当金と失業手当を組み合わせる場合は手続きの順番が重要なので、不安があれば専門家に相談するのが安全です。

Q. どこに申請すればいいですか?

A. 制度によって窓口が異なります。失業手当・再就職手当・教育訓練給付金など雇用保険の給付はハローワーク、傷病手当金・出産手当金は協会けんぽまたは健康保険組合、国民健康保険料の軽減・国民年金の免除・住居確保給付金は市区町村です。

Q. パートやアルバイトでももらえますか?

A. 雇用保険や健康保険に加入していれば対象です。雇用形態ではなく加入状況で決まります。ただし国民健康保険には傷病手当金がないため、勤務先の健康保険に加入していたかどうかが分かれ目になります。

Q. 公務員ももらえますか?

A. 公務員は雇用保険の被保険者ではないため、失業手当や教育訓練給付金の対象外です。ただし退職手当が支給され、失業手当相当額に満たない場合は差額が支給される制度があります。共済組合の傷病手当金に相当する給付もあります。

Q. 申請期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?

A. 原則として受け取れません。再就職手当のように1か月と短いものもあれば、傷病手当金のように2年の時効があるものもあります。期限を過ぎたと思っても、時効前であれば遡って申請できる制度もあるため、まず窓口で確認してください。

Q. 給付金を受け取ったことは会社に知られますか?

A. 退職後の失業手当や国民健康保険料の軽減について、前の勤務先に通知されることはありません。ただし傷病手当金や再就職手当は、申請書に事業主の証明欄があるため、会社に記入を依頼する必要があります。

Q. 給付金に税金はかかりますか?

A. 失業手当、傷病手当金、育児休業給付金などの公的給付は原則として非課税で、確定申告も不要です。一方、会社から支給される退職金は退職所得として課税対象になります。

Q. サポート業者の費用相場はどのくらいですか?

A. 受給見込額の10〜20%程度を成功報酬とする事業者が多いようですが、事業者によって大きく異なります。着手金の有無、返金保証の条件、追加費用の有無を含めて、契約前に書面で確認してください。

11. まとめ|もらい忘れを防ぐカギは「退職前」の準備

退職給付金とは、退職前後に申請できる公的給付・減免制度の総称であり、本記事では17種類を整理しました。最後に、押さえておきたいポイントをまとめます。

  • 退職給付金は特定の制度名ではなく、雇用保険・健康保険・自治体の制度をまとめた総称である
  • すべて申請主義であり、条件を満たしていても申請しなければ受け取れない
  • 病気やけがで働けない状態では失業手当は受け取れず、傷病手当金が受け皿になる
  • 傷病手当金を退職後も受け取るには、退職日までに3つの条件を満たしておく必要がある
  • 「もらう」制度だけでなく、国民健康保険料の軽減や国民年金の免除など「支出を減らす」制度の効果も大きい
  • 2025年4月から自己都合退職の給付制限は原則1か月に短縮され、就業手当は廃止された
  • 「200万円もらえる」は上限値のモデルケースであり、誰もが受け取れる金額ではない

もっとも強調しておきたいのは、退職してからでは間に合わない制度があるということです。傷病手当金の継続給付、健康保険の任意継続、離職理由の確認――いずれも退職日までに動いていなければ選択肢そのものが消えてしまいます。退職を考え始めた段階で全体像を把握しておくことが、結果的に数十万円から数百万円の差につながります。

制度が複雑で判断に迷う場合は、ハローワークや市区町村の窓口、あるいは社会保険労務士などの専門家に早めに相談してください。

※本記事は2026年8月時点の情報にもとづいています。制度の内容・金額・期限は改正される場合があります。実際の申請にあたっては、厚生労働省、ハローワークインターネットサービス、全国健康保険協会、日本年金機構、お住まいの市区町村の各公式サイトで最新情報をご確認ください。

監修者:和久田 典宏(わくだ のりひろ)
弁護士/未来創造弁護士法人

静岡県浜松市出身。司法試験合格後、弁護士として企業法務を中心に活動しています。

現在は、経営者との継続的な対話を通じて、契約書の作成・確認、事業上のリスク整理、トラブル予防などを支援。年間200通を超える契約書関連の依頼に対応し、法的なリスクを指摘するだけでなく、事業の実態やビジネスモデルを踏まえた実務的な提案を強みとしています。

主な所属・活動
・東京弁護士会 中小企業法律支援センター
・東京弁護士会 新進会員活動委員会
・日本弁護士連合会 法曹養成制度改革実現本部 広報チーム幹事

主なセミナー・講演実績
・日本M&Aセンター
・AZ-COM丸和・支援ネットワーク
・その他、企業・経営者向け講演多数